人類はアマゾンを食いつぶしています

12月8日号(「ブラジルの環境問題」全文掲載)

ブラジルが生産する大豆を扱う企業の拡大化について、オランダに本部をおく国際グリンピースが行っていた調査は、欧米の多国籍企業が、アマゾンにおいて実行している森林伐採、土地の不法取得(偽の土地登記証をたてに殺し屋=ガンマンを雇って住民を追い出すことを意味する)、地元の住民たちを奴隷の状態でこき使う現実などの、さらに新しい証拠となるものを公表しました。密林の奥深くに大豆を貯蔵する巨大な貯蔵庫を建設したり、インフラ設備を整備したり、道路を舗装し、違法な農地や禁止されている森林伐採をした農地から大豆を購入し、地元の住民たちを奴隷の状態でこき使ったりして Cargill, ADM(Archer Daniels Midland), Bünge などの多国籍企業がそれらをあおり、アマゾンを大豆畑に変える後押しをしているのです。

概要

アマゾンの密林は地球上においてもっとも森林が豊富でいろんな生物の多様性に富んだ地域です。地球上の哺乳類の10%、植物の15%がそこに生息しています。また、世界でもっとも環境破壊にさらされている地域でもあります。毎年18,000Km2注1もの森林がこのアマゾンから消滅しています。 過去25年間に、南マット・グロッソ州とリオ・デ・ジャネイロ州を足した面積注2の森林が、この地上から消えていきました。 
注1:群馬県6,356 Km2+埼玉県3,799 Km2+千葉県5,104 Km2+東京都2,144 Km2の4都県の面積を足したそれ以上の面積に匹敵します。
注2 日本全土の面積377,000 Km2+オランダの国土面積42,912Km2の二つの国の面積を足したに等しい面積。


近年、ブラジル政府はアマゾンにおける違法な森林伐採と違法な木材取引に対処する重要な法案を採択しましたが、それに平行して新しく強引な森林破壊の脅威がアマゾンに現れました。それは大豆です。 この地方に欧米の巨額の農業融資資金が投入され、アマゾンをこの国の最先端農業地区に変えてしまいました。2004年までに約1,200,000ヘクタール注3の密林が大豆畑に変えられたのです。
注3 120Km2 の面積です

実にブラジル全土から見るとたったの5%にすぎませんが、すでに森林が伐採されて耕地になっている地域もあるのに、Cargillや他の大企業のための新しい舗装道路や大豆の貯蔵庫、港湾設備への融資は、すでに森林伐採された土地を買うよりも手つかずの密林を買って森林伐採するほうがより経済的であるようにしているのです。こうすることがアマゾンを大豆畑にするのにさらに拍車をかけているのです。この拡大主義は密林の伐採にとどまることなく、そこに住む原住民の土地と、先祖からの土地を守って生活している住民たちの土地を大豆畑にするために、また無数の人達をだまして密林を破壊するために強制的に働かせるために、そこに住む住民たちを追い出しているのです。

この大豆の生産をめぐっていろんな事件が派生し注4、さかんに報道されているにもかかわらず、こん日にいたるまで、それらがアマゾンのこの一極独占型の農業が原因であり、その結果であるという分析が一つもなされていないのが現状です。
注4 今年の2月惨殺されたアメリカ人宣教修道女 ドロシーのケースもその一つ。彼女は住民たちの権利とアマゾンの環境保護のために働いていました。

2004年から、オランダに本部のある国際グリンピースが、この地域について、航空機を使って調査し、この地方でその影響を受けた共同体や企業の代表者、そして政治家などと会見し、また衛星写真を分析し、輸出の実態をも調査し、国際市場に大豆を運搬している船舶を監視することで、事実の分析、調査を始めました。2年間続いたこの調査は、アマゾンの大豆や密林の破壊に留まらず、アマゾン産の大豆に絡まるすべての事項に及びました。北米にあるこれらの大企業の本部の密室で開かれた重役会議で決定されたことから始まり、ヨーロッパのスーパー・マーケットの陳列棚にある商品やレストラン、軽食堂の皿に盛られた大豆にまで及びました。それらの大豆は惑星地球の大部分を占める熱帯雨林を破壊して産出されたものだからです。

この調査結果は私たちには前もって予測されたものです。猛烈な勢いで森林を破壊する大企業の本当の姿なのです。また、望むと望まざるとにかかわらず日欧米の消費者達も、アマゾンにおける森林破壊と土地の不法取得(偽の土地登記証をたてに殺し屋=ガンマンを雇って住民を追い出すこと)でそこに住む人々を追い出し、さらに追い出されたその人々を奴隷のようにこき使う北米の大企業とともに、おなじ共同責任を負っているのです。

ブラジル国内だけでなく、国外のたくさんの消費者も、アマゾンのこの大豆の一極独占型の農業形式による破壊の加担者なのです。しかしながら、わたし達が入手した新しい証拠は、くどいようですが、これら欧米の三つの多国籍企業(イリノイ州のDecaturに本部のあるADM、セントルイス州に本部のあるBünge株式会社、ミネソタ州に本部をおく一番悪質なCargill)が農産物貿易の分野で森林破壊の張本人たちであることを示しています。

種子や肥料などから始まって大豆を貯蔵したり輸送したりするのに必要な設備を提供することでこれらの大企業は、あたかも磁石が他の金属をひきつけるように、アマゾン州に他の新しい農産物を導入するのです。これらの企業は大豆の生産を拡大するだけではなく、密林の不法伐採や、耕地の拡大や強制的な奴隷状態での労働を覆い隠すのです。そうすることで、日欧米だけでなくほかの国の消費者たちに破格の超廉価の大豆を提供することができるからです。グリンピースによってもたらされたこれらの証拠は、Cargillやその同盟企業が港湾設備や貯蔵庫、その他のインフラ設備を建設し、禁止された地域の密林の中に道路を整備し、草原を耕地に変えた大農場や不法に森林伐採をした土地で生産された大豆を買いあさり、地元の住民を奴隷の状態で労働させたりして密林の破壊を続けていることを示しています。

これらの大豆の大部分は日欧米に輸出されペットの飼料となったり、Chicken McNuggetsやその他の外資系企業の商品として超廉価で無尽蔵に供給できるように保証されています。

今日、大豆はアマゾンの密林にとって最大の脅威となっています

この調査によって明らかにされた主なことは、以上のべた悪事を知らない他国に市場を拡大するために、この地域に集まったこれらの同盟企業によって収穫、集積された大豆の需要が地球規模に広がっているということと、ブラジル南部の農産物生産にとってかわってアマゾンの大豆が農業の最前線となり、それが森林破壊のもっとも中心的な原因だということです。

ほんの数年前までは、北マット・グロッソ州がブラジルの大豆の主要生産地で、2004年には大豆生産の1/3がこの州から出荷されました。北マット・グロッソ州の面積の半分注5がアマゾンの緑地に属しています。この州は年毎にその名(深い森林)に不相応になってきています。現在の北マット・グロッソ州の大豆畑は1996年と比べるとその2倍に広がっています。この州もまた森林伐採、畑にするための森林火災のチャンピオンであり、2003年のブラジルの全森林消失の半分近く(48%)を消失した張本人だということです。この州の密林の1/3注6が農業の最前線となるべく破壊されました。
注5: 440.500Km2 日本全土の面積377.500Km2にさらにもう一度九州の面積43.071Km2と四国の面積18.792Km2 を足したに等しい面積です。
注6: 北海道 83.500Km2 +九州 43.071Km2 を足したそれ以上の面積。
訳者追伸- 今年になって、日欧米だけでなくアフリカさえも含めた世界中がブラジルとエタノールの取引を し始めました。石油に代わる代替燃料として自動車などに使用するためです。


先日、町で出会った知り合いの日系人と話したとき話題になったのは今収穫を迎えている大豆ではなく、サトウキビでした。皆さんが考える範囲をはるかに越えたものすごい勢いで、ほとんどの酪農業家が農地を、牧草地をサトウキビ畑に変えているそうです。エタノールの輸出を見越してのことです。エタノールは人間の口には入らないのできっと化学肥料や農薬の使い放題になるでしょう。そうなると肥沃土の浅いブラジルの土地はいっぺんに砂漠化してしまうでしょう。それに世界の食糧事情にも甚大な影響を与えることでしょう。

Cargill, ADM, Bünge は汚い商取引で大儲け

アマゾンの大豆に関する欧米の企業によるこれらの侵略でもっとも劇的なのは、これらの多国籍企業が大豆を簡単な商取引で品質も保証された形式で供給し、さらに大豆生産が膨大な利益をもたらすためにそれらの企業は広大な森林を破壊するための手段を提供し、それをあおっていることです。

国際商取引や大豆の審査などは国際間の商品を取り扱う少数の貿易商によってコントロールされています。その商人たちはおおかた大豆に連鎖する他の食品をも支配しているのです。それらの貿易商が ADM であり、Bünge であり、Cargillなのです。

ブラジルにおいて、これらの企業はただの売買をしているのではありません。大豆生産に関するブラジルの総支出の少なく見積もっても60%の費用をこれらの企業が出しているのです。2004年には ブラジル人のファゼンデイロ(大農場主)への農業設備投資として、Bünge だけでも10億ドル相当の融資が行われました。これらの貸付金の代償としてこれらの企業は、大豆の収穫の代わりに種子や肥料を提供し、広大な土地についての不正なコントロールをさせるのです。さらに密林のど真ん中に貯蔵倉庫と搬送設備などのためのインフラ設備を建設してアマゾンのさらに奥深くに大豆の最前線基地を推し進めることを暗にあおっているのです。

大豆街道:他に目的のない道

インフラ設備とくに公共の土地を正式な書類なしに貫通してつくられた舗装道路は、土地の不法取得(偽の土地登記証をたてに殺し屋=ガンマンを雇って住民を追い出す)者や大農場主達の土地所有者に森林破壊するようにあおっているのです。全森林伐採の85%はこの舗装道路の両側50Kmの幅で発生しています。

衝撃的な事実は、北マット・グロッソ州の州都クヤバーと、パラー州の州都サンタレンを結ぶ国道BR-163号に沿ってどこまでも見られます。この国道BR-163号に沿って過去数年間、大豆畑は、2002年の2,400haから2005年の44,000ha以上に拡大しました。三年間で20倍近く拡張されたことになります。この広大な森林破壊はパラー州との州境までの舗装で止まりました。CargillやBüngeも同じくこの舗装道路に沿った農場から大豆を買うのです。最悪なのは、Cargill、ADMとBüngeの三つの企業が連合して、残りの区間の道路舗装のための175,000ドルを拠出することになっています。その道路はCargill によって不法に建設されている穀物搬送用の新しい港湾に通じているのです。

不法につくられた他のもう一つの大豆街道が、北マット・グロッソ州のFeliz Natalの町から出てシングー国立原住民保護公園の西の端までの120Km 地点でポッツリと切れて終わっています。 CargillもまたBüngeも同様に、この「他に目的のない道」のいたるところに、一棟で360トンもの穀類を貯蔵できるサイロをいくつも建設しました。さらに貸付金を容易にし、その地方の森林をすでに伐採してできたあらゆる農場からの大豆の買い付けを約束しています。過去二年間にこの街道に沿って40,000haの土地が開墾され大豆畑となりました。さらにグリンピースは 99,200haの土地がインターネットで売りに出されているのをキャッチしました。報告書はCargillもBüngeも同様にこれらの土地から大豆を買っていることを明らかにしています。

衛星写真などの分析によれば、大豆のための「他に目的のない道」でおこるこれらの衝撃的な事実は、この地域の密林がさらに1,000,000ha註7消失することを報告しています。以上のこれらの統計的な数字は森林破壊の直接的な事実によるものであり、化学肥料とか農薬の影響、大豆生産から派生する人口増加註8などによる間接的な影響による破壊は計り知れないほど大きなものになります。
註7 100Km2の面積
註8 トラクター、耕運機、トラック、燃料、それらの部品などの販売、修理、インフラ整備等の労働者や生活必需品などに関する商業活動関係者、農業従事者等などの人口増加、その他。


大豆のための諸設備

アマゾンの道路や農場に融資するばかりか、これらの北米の農業貿易商は、アマゾンの要所要所に大豆生産を支えるに必要なすべての設備を建設しています。 Cargill, ADM(Archer Daniels Midland),Büngeの三企業だけで23の穀物貯蔵庫とそのインフラ設備、産物を運び出す港など、それらはこの地方にある同じ設備の2/3に相当します。

これら3企業のうちでCargill がアマゾンの環境破壊にもっとも積極的です。この企業はアマゾンの自然環境の中に散らばって建設された彼らの13の穀物貯蔵庫のほかに、アマゾン州のとなり、パラー州のサンタレンを流れる大河パタジョー河に巨大な穀物出荷港を、何の許可もなく違法に建設しました。Cargillは国道163号が貫通したら、このサンタレンの河港から年間2-3百万トンの大豆が輸出できるともくろんでいます。膨大な量の大豆の輸出のために必要な作付面積を増やすことは、必然的にこの地方の森林破壊につながっているのです。この大豆輸出のため、北方に道を開拓しようとするCargillは、地域の住民の反対を強引に押し切り、またブラジルの法律で定められている自然環境に及ぼす影響の調査さえもせず、そのために州都サンレンにある連邦公安局から法的に訴えられることも承知で、20,000,000ドルかけて穀物貯蔵庫を建設しました。

河港が建設中の2003年11月、裁判所は違法の決定をCargillに下しました。その翌月、公安調査委員は最終決定が下されるまで、Cargillに河港建設の即時中止と設備の取り壊しを要求して新たな法廷闘争を開始しました。2004年5月、連邦裁判官はCargillに自然環境への影響を調査することを命じましたが、Cargillはそれを拒否しました。

2006年2月、連邦裁判所は最終的にCargillに、河港周辺に限らずパラー州の西部地区全体におよぶ自然環境への影響を調査することを裁定しましたが、それにもかかわらず現在も工事は続行中です。

土地の不法取得(偽の土地登記証をたてに殺し屋=ガンマンを雇って住民を追い出すこと)と奴隷状態の仕事

大豆生産にかかわる新天地を求める動きは数え切れないほどの土地不法取得を生みだしています。数百万ヘクタールにも及ぶ土地がすでに偽の登記書類、それはほとんど武力でもって獲得したもので大農場主たちのものとされました。この公的な土地の不法占拠による最大の犠牲者は原住民(インヂオ)と昔からその土地や森林を利用して生活していた人たちです。たとえば、北マット・グロッソ州のブラスノルテにあるメンベーカ農場は2003年以来、原住民マノキの土地8,000ヘクタールを大豆畑にするために不法に森林を伐採し、現在も伐採し続けています。CargillもまたBüngeも同様にここブラスノルテに倉庫を建設しメンベーカ農場から大豆を買い付けています。 サンタレンにあるCargillの河港からこの地方の大豆が輸出されています。大豆生産拡大の前衛となるアマゾンのこの現実は、農場や畑、森林における合法的な奴隷労働の憂うべきブラジルの社会構造をも引き起こしています。ブラジルにおける奴隷状態で働く人の公的数字は約8,000から25,000人以上にのぼります。その大部分が北マット・グロッソ州とパラー州に集中しています。高給とまっとうな仕事だとだまされて契約した地元の貧しい住民と近隣の都市近郊からだまされて集められた人たちは遠隔地に連れてゆかれ、そこで借金地獄の状態にされ極悪の環境で働かされるのです。ブラジル官憲の目の届かない、保護できないところに連れて行かれるのです。

ブラジル政府が「奴隷状態での作業の間違いを正す国家憲章」に契約する大企業の努力を支持することでどんなに躍起になっていても、ADM もBünge もCargillもそのキャンペーンにはけっして賛同しませんでした。

1998年から2004年にかけて、政府の官憲は北マット・グロッソ州のクェレンシアにあるロンカドール農場において奴隷状態で働かされていた215名の労働者を解放しました。そこは森林伐採が合法的に許されている面積の二倍以上にもなる149,000ヘクタールの非合法な土地でした。そこでは一日16時間、一週間一日の休みもなく働き、労働者はベッドもシャワーもない、プラスチックのおおいで囲われたバラックの中で生活することを余儀なくされていました。料理やシャワー、そして飲料に使う水は牛たちが飲む水溜から引かれたもので、ディーゼル油や耕作機械の部品を洗浄するのに使う油を保存する酒樽に貯められていました。農場を去ることのできない労働者は法外な値段で農場が売る食物を買わなければならず、それが負債となって政府関係者がそこに現れるまで奴隷の状態で働かされていたのです。農場の持ち主たちが訴えられているにもかかわらずロンカドール農場では出荷するための大豆が植え続けられています。CargillもBüngeもクェレンシアで同じように仕事を続け、Büngeは2005年にその地方の出荷を登録しました。

Cargillは、2002年6月に北マット・グロッソ州にあるヴォー・ジェルシー農場が動産管理グループの奴隷労働禁止の査察を受けたとき、そこから大豆を買っていました。そのとき管理グループは大豆畑を作るために奴隷状態の労働者たちがその地区の森林を伐採しているのを発見しましたが、Cargillはその後も、少なくとも9ヶ月もの間この農場から大豆を買い続けました。

Büngeも、 政府の官憲がトゥピー・バラーォ農場で強制的に保留されていた69人の労働者たちを解放した16ヶ月後、2003年2月に、この農場から大豆を買い付けました。この農場は摘発されてからも、奴隷労働と違法就労の実施などの理由で、政府のブラック・リストに載り続けています。CargillもADM もまた同様に、2005年6月に連邦係官が263名の奴隷労働者を発見した北マット・グロッソ州のヴァーレ・ド・リオ・ヴェルディ農場から大豆を買い付けていました。

アマゾンにおけるこれら北米の企業が実行している森林破壊や地区共同体の追放、奴隷労働の最大の悪役はCargillです。政府の査察によってはっきりしたことは、これら悪役3者が行っていたことはブラジル産大豆の下劣な工業化だけではなかったのです。

国境を越えた利益:北米農場主達への影響

Cargillのこの破廉恥な事業は反面皮肉な面もあります。実際に、莫大な財産と帝国を築き上げたCargillを北米の最大の個人企業のひとつとさせたブラジル産大豆が、北米の農場主たちと競合するようになったのです。長い間、世界の大豆市場では北米によってその大半が供給されていました。80年代の初めは全世界の大豆輸出の90%以上が北米のものでした。しかし、90年代の終わりごろ、大豆取引における北米の支配は凋落を見せ始めます。それと時を同じくして、ラテン・アメリカにおける大豆生産の発展のためのCargillやその他の企業努力が実を結び始めます。

2003年には北米の取引が40%にまで下落しました。ブラジルとアルゼンチンの大豆の総合輸出量がはじめて北米の輸出量を越えた瞬間でした。でも2004年まで単独国では北米が最大輸出国でした。それは、大豆と大豆粉の総重量が36,300,000トンでしたが、第2位のブラジルのそれは35,100,000トンであり1,000,000トンだけの差でした。その差は後に続く4年間だけのものでした。ラテン・アメリカにおける大豆生産の顕著な成長はまた、北米の農場主たちへの脅威でもありました。それはまた同時にたくさんのブラジル人の大豆の小生産者が大豆を捨てて、より利益のあがる作物へと転作させるものでした。 そしてもっと皮肉なことに、Cargillの保護と契約のもとでアマゾンに大豆を植えるために、ブラジル南部の農場主たちが募集、召集されているのです。

結論と提訴

大豆の劇的な生産拡大はまたアマゾンの将来に深刻な大きな脅威となっています。大豆のにわか景気は森林の破壊にとどまらず、原住民(インヂオ)や昔からの住民たちの共同体を破壊しています。彼らは自分たちの土地を膨大な大豆の生産のために手放さなければならず、貧しい住民たちは不法な森林伐採のために奴隷として働かされるためにアマゾンの奥深く遠隔地につれてゆかれ、この地域に住む住民たちの土地や飲料水などは、一極独占型の大豆生産による極度に集中して使用する農薬によって汚染されています。アマゾンの大豆は責任ある形で生産されたのではなく、その大部分は違法な方法で、大豆の商取引、21世紀の多角貿易(三角貿易)をコントロールしているあの3企業だけが利益を独占する形で生産されています。大豆取引市場は改革されなければなりません。

ð 食用やペット・フードなどの商取引に関係している企業は自社の生産品はアマゾンの大豆を使用していない
ことを保障すべきです。政治的には早急に、自然環境に対しては責任ある、また社会的には正当な大豆の
出所を保障すべきです。それはまた、生産物に含まれる含有物の出所や生産された環境、その生産による影響などを検証・追及するシステムの確立をも含みます。
ð  Cargill, ADM(Archer Daniels Midland),Büngeの三企業を含めた大豆の大貿易商社たちはアマゾンの自然環境で生産された大豆の購入を今すぐ中止すべきです。
ð  Cargill, ADM(Archer Daniels Midland),Büngeの三企業は「奴隷状態での作業の間違いを正す国家憲章」に同意すべきです。そして大豆についての合法な出所を保障する一連の保護策を約束すべきです。  (それは、不法な森林伐採された農場ではなく、法的に正当な登記がなされた農場で生産されたこと、奴隷労働で生産されていないことなどを含む)
ð Cargillはサンタレンに違法に建設した穀物出荷港の全設備を閉鎖すべきである。

(完)

訳者注: 
* クェレンシアは私たちの準管区(南北マット・グロッソ管区)が昨年からミッションを受け持った地区で 解放の神学者たちがその神学の揺籃期を過ごし、解放の神学をうちたてた地区です。

* サンタレンは、フレイ・アレイシオ神父様とともに、私たちの日伯司牧者協会を創立してくれた
リノ司教が治める教区で、昨年〔2006年〕10月、リノ司教はこれらならず者企業たちに対し、教会の立場をはっきりと宣言し、彼らに対して現状を改善するようにとマスコミを通じて要求なさいました。