今期は、昨年の2007の暮れから突発した前首相ベナジール ブット氏の暗殺による争乱により、2008年度のセンターの開所が遅れてしまい、子供たちやその両親に多大な不安を与えました。それでも新年開 所予定より一週間遅れての開所となりました。それを待っていたかのように、開所日には皆元気な顔を見せてくれました。
パキスタンの国中に広がった争乱にも拘わらず、子供たちに何事もなかったことが救いです。しかしそれもつかの間、2月に入って間もなくパキスタン国政選挙が行われ、またまた一週間の休みを余儀なくされました。何事も思うままにならない現実に少しばかりいらだってしまいした。
勿論うれしいこともありました。2007年のクリスマス会にあわせて、皆様から頂いた援助金でステージを造りました。
当センターのクリスマス会は、子供たちが一年間学んだことの発表会でもあります。今年は広々としたステージで子供たちが思う存分にその成果を発表してくれました。当センターのクリスマス会兼発表会は毎年好評で、200名を超す参列者を迎えました。
私には日頃からやってみたい一つの計画があります。それは、センターの子供たちとともに、カラチ市の清掃作業に奉仕したいということです。これは、障害を持った子供たちが社会から援助を受けるばかりではなく、障害児者も社会に奉仕できることを強くアピールしたいからです。しかし、これはなかなか大変なことで、この奉仕活動を実現させるには子供たちの両親を説得することから始めなければなりません。其れというのも、パキスタンにもカースト制度の風習があり、自分の子供たちを清掃作業に奉仕させることに強く不安を持っています。
日本では、子供たちによる清掃奉仕は「美しい心」の美的観念がありますが、パキスタンでは、清掃作業は卑しい人の仕事と観念づけてしまうからです。それでも、なんとかして障害児も社会も一員であることを広く社会に認識してほしいと願っています。
松本貢四郎