兄弟小川満 ブラジル日本移民100周年報告 8月29日号

平和と善!

ずいぶんと遅れてしまいましたが、ドゥラードス市とカンポ・グランデ市で行われた日本移民百周年記念の模様をご報告したいと思います。

先ずは地元のドゥラードス市での記念祭ですが、市議会が旧日本人会館の傍の道路の一丁分を全改造して、日本公園の形にしました。道路の両側には大きな赤い鳥居を立て、会館脇の鳥居のそばには石碑に百周年記念の文字を日本語で彫り、設置しました。

clip_image0026月15日の日曜日には、ドゥラードス地方の日本人会9支部による連合会が主催し、司教の司式によるミサが盛大に挙行されました。もちろん私も呼ばれ、司教の横に神妙に侍って司教ミサに奉仕しました。主催者側の説明によりますと、日本人、日系人、政治家を含めて1.500人の人に招待状を発送してあるとのことで、当日は朝から凍えるような寒さにもかかわらず、会場となった新日本人会館が満杯になるほどの人が参列しました。

ミサの後には、開拓先亡者慰霊追悼式を私が先導して行いました。この追悼式は毎年私が行っているので地元の人たちも慣れた要領でお線香を捧げていました。clip_image002[5]

ここで一つ特記しておきたいこと: 私はこの前日、『いつくしみ深き』とか『主よみもとに』、『また会う日まで』などの賛美歌をそれぞれ三声の楽器編成でキーボードにプログラムしておき、当日は祈りのかたわらキーボードを自動演奏させ、カラオケよろしくマイク片手に美声を発揮し、生放送で中継していた教区のラジオ局のスタッフを仰天させました。(ただの自慢話です。悪しからず。) 【写真 5 6】

州都のカンポ・グランデでは教会の中に 明の星会と呼ばれるグループと日伯司牧協会の下部グループがあり、どちらもほとんど同じメンバーで構成されていますが、この二つのグループが頑張って百年祭を企画しました。記念ミサと祝賀会が二度計画されました。

ひとつは、カンポ・グランデ大司教区創立50周年記念と併せて大司教が司式し、日系人の多く参加している小教区で百年祭のミサが捧げられました。もちろん私も大司教の侍者を勤めました。このミサには、大司教のほか日系人の司牧担当を任されているブラジル人司祭、横浜教区に4年間派遣されていたブラジル人司祭、一昨年叙階された日系3世の司祭も共同司式し、明の星会が製作したすばらしくきれいなストラを記念としていただきました。

clip_image002[7]移民祭当日(6月18日)には、日本司教団代表で沖縄からブラジルに来ていた押川司教様の「どうしてもカンポ・グランデを訪問したい」との希望で、司教様をお迎えして日本語によるミサを盛大にいたしました。

両都市の百年祭を総括して:今回ほど日本人移民と日系人子孫とが強く一致して事にあたった催し事はかつてありませんでした。いつもは日系子孫に不満足を表明している移民一世も、この日ばかりは若い日系人達のバイタリティーに脱帽したようです。ドゥラードス地方は第二次大戦後初の移民が入植した地区なので、一世移民はそれ程老齢化しているわけではありませんが、実際にブラジル社会で活発に活動し、認められているのは若い二世・三世の人たちです。そして三世になれば、外形から日系人と呼ばれていても、その発想、行動はもうブラジル人そのものです。一世の移民たちがどんなに自分達の子孫に日本人的な物の考え方や行動様式を強いても、ここはブラジルなのですから、それは無理と言うものだと子孫の居ない私は割り切って考えていますが、一世移民には自分の息子達、孫達という意識があるのでしょう、日本人的な発想や行動を要求しがちなのです。

しかし今回の百年祭を盛大にきっちりと成功させた両都市の日系子孫達にはかけ引きなしの拍手を送りたいです。

一世移民もこの際、いさぎよく自分たちの子孫に日系社会での活躍の場と地位を譲ってもいい時期ではないかと思います。

ひるがえって考えてみれば、日本にいるブラジルからの出稼ぎの人たちも、もう三世代目に入っていると聞きます。出稼ぎ一世は日系ブラジル人でも、日本で生まれたり、幼少時に両親と一緒に日本に行った若者達は、非常に複雑な心理状態を抱えていますが、二つの文化を持ったダブルの日本人なのです(ハーフではありません)。日本の教会で主任司祭をしたり、助任で活躍している日本管区のフランシスコ会員にお願いします。すべてをブラジルからの司牧者に任せるのではなく、ご自分でご自分の小教区に積極的にこれらの日系ブラジル人を受け入れてください。

外国籍の信者数が日本人信者数を上回っていると聞きます。そして、たいした理由もなくこれら外国籍の信者達を受け入れない主任も居ると聞きます。中にはあからさまな差別待遇をする主任も居るとのこと。とんでもない主任です。十年先を考えてください。何人の日本人信者があなたの教会に生き残っていますか。外国籍の信者の助けを借りなければ教会の運営も立ち行かなくなっているのが日本の教会の現状ではないでしょうか。

以前はフランシスコ会が開拓し育てたにもかかわらず、現在は他の修道会や教区に明け渡した教会が、外国籍の信者で以前よりも活発になった教会が沢山あると聞いています。とくに長野や群馬などの教会はどうなっていますか。

ここは一発奮起して将来のために自分の教会に外国籍の信者にも席を空けてください。とくにブラジルからの信者の中にはブラジルの教会でカテキスタとして活躍していた人、幼少年の司牧を受け持っていた人、青年会で活躍していた若者達が少なくありません。そんな人たちを、数が少なくなっていく日本の教会から遠ざけておく理由はひとつもないではありませんか。あなたの教会の中に活動の場を提供してあげてください。必ず日本の教会の活動の原動力となることでしょう。

2008年8月5日 ドゥラードス市、 mifratito@douranet.com.br