兄弟小川満 ブラジルから近況報告

平和と善 !

北海道から初雪の便りが聞かれるようになりました。皆さんにはその後おかわりなくお過ごしのことと思い、神に感謝いたします。

先週(10月27‐31日)、私達は本部修道院に缶詰となり、管区会議がおこなわれました。

今年は分管区長と評議委員の選挙が行われる年で、この会議には海外で働く兄弟以外は全員が参加しました。

会議の最大の関心事はもちろん選挙でした。 有権者(荘厳誓願者=平均年齢65歳)39人の投票により若干45歳の分管区長が選ばれました。6年前の分管区長も39歳で選ばれています 30年前私がブラジルに来た時、彼らは志願者でした。隔世の感を感じるとともに自分の年齢を思い知らされる感じです。

他に、評議員最高齢者が 53歳。 最高得票を獲得した評議委員は34歳で司祭叙階2年目という若さです。新役員(正副分管区長、4人の評議委員)の平均年齢が42歳という若々しさです。彼らの今後の活躍に、みんなの期待が集まっています。

他に、二年前に新しく開いたミッション(解放の神学の発祥の地)から報告があり、以前私が報告した『人類はアマゾンを食いつぶしています』がそのまま当てはまる報告がなされました。三人の兄弟が働く町では、フリーメーソンが支配しており、市長、警察署長、裁判官達がフリーメーソンで、法による正義は存在しないとの事。実に金を持っている者が権力を握り、権力を持つ者の意思が正義だそうです。アメリカの西部劇そのものの感じですが、西部劇映画はきれいすぎます。無垢の、無実で小さな人たちの命が蚊や蟻んこのように扱われているのだそうです。資本力のある者がアマゾンの自然を自分の欲望を達成するために破壊し、大豆や燃料になるアルコールを生産し、何の罪の意識を感じることなく、逆に「アマゾンの木を食べることはできないが、大豆やアルコールは労働者を養いその家族を生かしている」と主張し、自分達の行動を正当化するのです。外国企業と手を結んでいるこれらの企業家達はその労働者を奴隷のように働かせているのです。そんな社会でキリスト教共同体など形成できないのが現実のようです。ブラジルではそんな社会を原始資本主義社会と呼んでいます。でもそんな社会だからこそキリストの福音の浸透が必要なのも事実です。キリスト者としての自分達の無力を恥じ入るばかりです。

40数年前、解放の神学の揺籃期に、自分の司牧区を神学者達に開放し、彼らと一緒に住民ともに歩んだカサルダーリガ司教は今も土埃の舞う国道を旧式のカブトムシ車で走り回り、車が故障すれば道端に駐車させ、通りかかった農民の馬車で地方の家庭を訪問しているそうです。

欧州の発達した資本主義の繁栄の中での教会の舵取りだけを考えて、解放の神学を断罪し握りつぶされたお方々はこんな下々の者達の苦しみなどご存じないのでしょうし、また知りたくもないのが現実なのかもしれません。ミッションで働く宣教師達の報告を聞いてそんな感想を持ちました。

2008年11月3日 ドゥラードス市にて

Frei Tito 小川 ofm