兄弟小川へのインタビュー(2010年3月)

3年に一度の休暇で帰国した兄弟小川 満にブラジルでの宣教について語ってもらいました。

1970年代末にブラジルに行かれましたが当時と今では状況も変化したと思いますがいかがですか?

clip_image002小川:日本から向こうに行った当時は、赤貧洗うごとくの人々も多く見かけましたが、経済成長している現在、生活水準は少しだけよくなったように見えます。でも、ブラジルは、給与所得が上がらない代わり、生活必需品の値上げが押さえられている。反面、電化製品、車などの値上がり幅は高く、庶民に手が出ない。つまりトータルするとインフレなんですね。また、一部の富裕層の利益は大きく伸びているのに、貧困層の生活は変わらない。ストリートチルドレンも地方都市でも減少している気配がない。国や大企業、資産家が潤っているが貧困層は生活苦という図式は変わりませんね。

司牧について日本と比べていかがですか?

小川:信徒養成に時間が割かれますね。たとえば聖体奉仕者は、教区で行われる神学講座で数年かけて養成します。司教から任命書をもらって、ミサでの聖体奉仕ができるようになってそれでおしまいではなく、そのあとのケアが必要です。間違いもあるし、理解の仕方も一人ひとり違う、継続養成が必要なのですね。カテキスタについても同様です。教区だけで数百人のカテキスタがいます。教区の養成講座で各小教区から10人から20人参加しますから、全教区の小教区チャペルから集まると数百人になるわけです。その人たちも養成講座が終わったらすぐに何でもできるのではなく、聖書、典礼、神学など足りない部分の養成は各小教区の司牧者が行うので、小教区と周辺のチャペルを回ると時間が足りなくなるわけです。

それだけの奉仕者などを育てるのは大変ですね。小教区の運営は日本と違うのですか? ブラジルは教会維持費がないのですよね?

小川:いいえ、それは昔の話です。今は都市も地方の教会も維持費はあります。よく、滞日ブラジル人に「ブラジルには維持費がない」といわれ、維持費を拒否されるということも聞きます。アマゾンなどの地域なら別でしょうが、今ブラジルでもそんなことはないです。ブラジルはフェスタといって教会の大きなお祝いがあります。昔はそこでバザーや、ビンゴをしたり、抽選券を売ったりして教会の運営資金を稼いだものでした。しかし、それではお祭りのときだけ奉仕して、それ以外のときは自分たちの教会を維持しようという意識も育たないことから、最近はブラジルでも指導するようになり、意識は少しずつ変わってきています。

宣教師になってよかったですか?

小川:向こうに行ったばかりのとき、言葉もわからないけれど、彼らとともに働き、生きる中で、彼らを理解できるようになると、お互いに理解が深まり、自分の中でも世界が広がることを感じるようになると宣教も楽しくなってきます。ブラジルに行けて幸せだった、宣教師になって幸せだと感じます。