10年目を迎えるフランシスカン・デフセンター

clip_image002兄弟佐藤宝倉

フィリピンで、聾者のために奉仕している兄弟佐藤宝倉の活動拠点で ある、フィリピン・アシジの聖フランシスコ・デフ・センター(デフ・センター)は2012 年に、創設(2003年 1 月)から 10 年目を迎えます。

兄弟佐藤によると、この節目の年を迎える前に、センターでは、一つの大 切な決断をしましたそうです。それは、7 年間の養成の時を経て、教育者を目指してきた被養成者が、学位を取得できたかは別にして、また教諭の資格試験に合格しなかったとしても、実際に教育の現場に立つべきであるという決断です。

その結果、最後まで残った 3 名(聾者 2 名、聴者 1 名)は、マニラ市からカルパヨグ市に移動し、3 人が協 力してクライスト・ザ・キング・カレッジ(フランシスコ会経営)の聾教育部で教え始めました。しかし、そのうちの一人が病気になり、長期休養するなどのアクシデントもありましたが、約 2 か月後、教 職に戻りました。今は、一生懸命小学生 11 名、高校生 14 名に教えているそうです。今後の大きな目標は、カルパヨグ・デフ・センターをフィリピンのフランシスコ会経営のセンターとして確立 することです。近い将来、センターを成人ろうあ者の働く場所にすることを目標にしています。

clip_image004また、現在無料で借用している土地の所有者が高齢であり、 ご自分の財産を整理して次世代に渡そうとされているため、将 来的なことを考えた場合、建物の周りの土地を最低限取得す べきであると判断し、速やかに土地所有者及びフィリピンのフ ランシスコ会と協議していく予定でいます。その理由として、外 国人は、土地の所有者にはなれないのと、資金がかかるため、 現地のフランシスコ会に土地を取得してもらうようお願いする ということです。

将来的な人材養成では、現在マニラの本部修道院には聾者 のフランシスコ会員がシンガポールから来ており、司祭になることを目指して、他のフランシスコ会員や他 の修道会の神学生と一緒に神学を学んでいます。デフセンターが誕生してから、多くの聾者の児童、生徒が教育を受けました。中には手話のスタートが遅かったため、勉強が辛くてドロップアウトした例もあります。

しかし、ここ数年は、児童や学生が続いています。受け入れのノウハウが 10 年の聞できてきたのもあり ます。それと同時に、進学率も上がっています。以前は高校(ハイスクール)で終わるケースも多かったので すが、最近は、大学を目指す生徒も増えました。中には教員を目指す生徒もいます。この中からセンターの 将来を担う人材が出るかもしれません。